ベトナムの経済困難に直面


国家財政・金融政策提案理事会の役員であるチャン・ズ・リック(Tran Du Lich)博士はベトナムのマクロ経済の状態を分析した。現在、ベトナムの経済がどんな困難に直面しているかを明らかにした。
2010年、経済成長率は6.78%に達し、2009年の5.32%と比べて高かった。しかし、高成長率にも関わらず、経済成長を抑える要素も多い。

ベトナムの貨幣


第一には、高インフレである。統計局によると、2011年1月のインフレ率は1.74%で、2010年12月の1.98%と比べて若干下がったものの、まだ高い。高インフレの場合の金融政策として、利子率を上げることでインフレを抑制することができる。具体的には、高利子率で国民が貯蓄を増やし、一方で消費を減らす。また、企業も高利子率の影響で投資などを減らす。結果、全体の国内総需要は減り、インフレは抑えられる。しかしながら、ベトナムの利子率は既に高い12%~14%であり、金融政策の一つの手段が無効化としている。
第二には、為替の不安定、つまり2つの価格の存在の問題である。具体的には、銀行が発表する為替レートと実際の市場で販売される為替レートが外れるのである。これに伴い、企業などは名目為替より高く外貨を購入させられるので、企業の運営は困難に陥ってしまう。
第三には、過剰輸入である。2010年の輸出総額は26%伸びたほか、財政決算も500億ドル増収したが、政治支出が多いために過剰輸入をまだ解決できないでいる。今後はさらに、財政赤字・貿易赤字で、ベトナムの負債は大きくなる恐れがある。

過剰輸入の状態

第四には、企業の困難である。国民貯蓄はほとんど短期貯蓄となり、結果、企業の投資のための資金調達が困難となり、貸し渋りの状況となっている。さらに、世界経済・政治は安定せず、紛争・デモや悪天候などによって、石油価格や食料価格が高騰する恐れがある。その結果、国内の物価水準も上昇すると見られる。
以上のような背景から、2011年初め、政府はマクロ経済を安定することが一番重要なことであると考えた。その中でも、国民の信用が最も大切だと指定している。国民は外貨や金などを保ちたいために、政府のインフレ抑制可能を信用せず、予想インフレ率を高くして、経済をドル化してしまう。その結果、ドル高、ドン安の状態となった。他の途上国の通貨が増価している現実と見比べると、ベトナムの経済の脆弱性が明らかとなり、国民の心配は当然だと考えられる。
 
ゴック アイン